'04 マツダ RX-8 マツダスピードバージョン
センセーショナルなデビューを果たしたRX-8には、
発売当初からマツダスピード製の
チューニングパーツがリリースされていました。
それをメーカーで組み付けた
コンプリートカーとして、
2004年に発売された限定車が
マツダスピードバージョンです。
マツダ RX-8 チューンドバイマツダスピード 1/43 オートアート製
マツダスピードバージョンは
ベース車であるスポーツグレード
Type-Sの275万円から360万円になり
RX-7(FD)並の価格帯となったものの、
変更点は多岐にわたります。
その中でもFDを知る人ならば
おや?と気がつく変更点は
リアウイングとタワーバー追加、
ハードダンパーへの変更、
オイルクーラーのツイン化でしょうか。
これらはFDのTYPE-Rでは
標準装備だったものですが、
エントリーグレードだったTYPE-Sでは
省かれていた装備で、
RX-8ではスポーツグレードに昇格した
TYPE-Sでも同様に省かれていました。
そういう意味で、
RX-8でTYPE-S(スポーツ)から
TYPE-R(レーシング)の領域に入り
更に一歩踏み込んだのが、
このコンプリートカー
マツダスピードバージョンでした。
マツダスピードによる
コンプリートカー構想は
以前の独立時代からありましたが、
皮肉にも合併されたことで
ようやく実現された感があります。
これはマツダスピード吸収合併による
数少ない功なのかも知れません。
しかしそんなメーカー純正の
チューニングカーまであるRX-8が
チューニングベースとして
ポピュラーだったかという話になると
評価は難しいようです。
というのも、ロータリーエンジン(RE)は
デリケートなエンジンなので
燃調のセッティングがシビアです。
給排気系に手を入れば燃調が崩れて
寿命が短くなってしまいますから、
スポーツECU等でリセッティングが
望ましいんですね。
ここまでは、RX-8以前のRE車にも
共通する話なのですが、
サイド吸気サイド排気を採用した
RX-8のRENESISは構造上、
排気経路に抵抗があるわけですから
熱とカーボンが溜まりやすい特徴がありました。
純正状態では燃調が取れていますので
問題になりませんが、
給排気系に手を入れたまま
燃調のリセッティングをしないと、
その構造上の特徴が露わになり
トラブルの元となってしまうのでした。
逆説的にいえば、RENESISは
ノーマルの時点でパワーと環境性能の
バランスを取って完成されている
エンジンだと言うことになりますが、
スポーツカーに乗れば
マフラーぐらいは変えたくなるのが
人のサガといったところ。
そういう意味で、給排気チューンと同時に
燃調のリセッティングがされた
このマツダスピードバージョンは、
安全にチューニングカーを楽しむ為の
メーカーからのお手本の様に
見えなくもありませんでした。
ミニカーは前回のTYPE-Sに引き続き、
オートアート製になります。
ですが、このミニカーは厳密には
マツダスピードバージョンではなく、
マツダスピードのチューニングカーです。
そのこともあってマツダスピードバージョンでは
純正のサイドミラーとアルミホイールですが、
ミニカーではマツダスピードOEMの
ガナドールエアロミラーとレイズMS-01Sに
に交換されています。
マツダスピードバージョンで価格を抑えるため
省かれた装備まで交換している
完全版とも言えるかも知れません。
そして、エアロパーツはRX-8のチーフデザイナーで
現デザイン本部長の前田育男が手掛けたもので、
市販車と並行してデザインされています。
これは結構珍しいケースかも知れません。
そのフロント造形は開口部を広げた
5型以降のFDに近い造形になっていて、
正面から見ると独立していたノーズと
フェンダーのラインが揃えられています。
これでRX-8独自の個性は薄れたものの
ノーマルよりもすっきりした
空力優先のシンプルな造形になりました。
ミニカーは前期型のモデル化ですが、
実は後期型にもマツダスピードの構想があって、
2008年の東京オートサロンに
RX-8マツダスピードコンセプトとして
参考出品されています。
しかし結局は発売にまでは至らず、
エアロパーツのみがマツダスピードではなく、
エムズカスタム名義でマツダE&Tから
発売されるに留まったのでした。
このエアロも中々良いデザインです。
こちらも是非モデル化を期待したいところですね。
写真ではうまく隠しましたがこのミニカー、
ケース正面から見えないボディ右側に
飛び散った塗料が大量に付いていました。
汚れをパッケージの死角に隠して
商品として出荷するとは小癪な……!
購入前開封チェックせずに、
10年後に気付く私も間抜けなのですが(笑)