'75 日産 S10 シルビア
トヨタセリカのマーケットに切り込む
スペシャリティカーとして、
B210サニーのシャーシに流麗なボディを与え
隠し玉のロータリーエンジンを搭載した
先進的なクルマとなるはずでしたが……
日産 シルビア LS 1/43 トミカダンディ製
ご存知の通り、日産からは
ロータリーエンジン搭載の量産車は
販売されませんでした。
日産のロータリーエンジンは
ペリ吸気ペリ排気のかなりのパワー指向で
その動力性能は期待できたはずが、
それが仇となって
マスキー法をクリアする排ガス対策と
オイルショックによる低燃費志向に、
対応が難しいと判断されたのでしょうか。
唯一生き残ったマツダのロータリーエンジンは
市販車は基本的にサイド吸気ペリ排気。
ペリ吸気ペリ排気はパワーが出る半面
低回転域が不安定で街乗りには向かず、
マツダでもペリ吸気ペリ排気は
レース用エンジンとして扱われていました。
そのあたりの事情もあるのかも知れません。
結局、シルビアとして2代目に当たる
S10シルビア(正式名称:ニューシルビア)は
ロータリーエンジンの搭載を見送り、
ブルーバードUと共通の1800cc
L型4気筒SOHCエンジンを与えられます。
カリーナをベースとした
DOHCエンジンを搭載するセリカに対して、
サニーをベースとして
SOHCエンジンを搭載するシルビアは
どうにも力不足でした。
シルビアはセリカの牙城を崩すことは叶わず、
国内の販売は不振に終わりましたが、
アメリカではそこそこ振るったようです。
輸出名は200SX
後の180SX(ワンエイティ)に繋がる
ネーミングの源流になりますね。
当初、ロータリーエンジン搭載を
前提としてデザインされたボディは
当時のアメ車を強く意識した日産の
一連のデザインの中でも一際斬新です。
マツダのコスモスポーツが
宇宙船のようなフォルムと形容されましたが
シルビアもテーマは同じように感じます。
ボディサイドの抉りのきいたデザインも
当時は珍しかったのではないでしょうか。
そういえば2000年以降、
BMWのクリス・バングルデザインを鏑矢に
このような抉りをきかせた
(マイナスアールを使った)デザインが
多くなった気がします。
サニーのシャーシのためトレッドが狭く、
タイヤが引っ込んで、かつ細く見えるのが
少し残念ではありますね。
ただ、宇宙船的デザインのクルマというと
シトロエンDSの印象が強いのか、
貧弱で細いほうが、
不思議と似合うような気もしてしまいます。
リアのスタイリングがまた特徴的で、
この見た目から
はまぐりシルビアと渾名されました。
アクが強く、好き嫌いが別れそうですが、
私は凄い好きなデザインです。
アメリカのマニアが
マツダの13Bにエンジンスワップして、
当初の目論見通りの
ロータリーシルビアが実現したら……
なんて妄想をするだけで
ご飯3杯イけてしまうクルマですね。
もちろん、
ミニカーでもボンネット下に収まるのは
L型4気筒SOHCエンジンですが……
ミニカーは中古で購入した
トミカダンディ製のものになりますので
ディテールは大らかなものになります。
カラーはイメージカラーのマルーン。
細部を部分塗装して、
ディテールアップも考えましたが
これはこれで味がありますので
考えるところです。
不遇のマイナー車ゆえに、
国産車メインのエブロが出さないのなら
まず出ないだろうと思っていたのですが、
ミニカーから少し離れている間に
ハイストーリーから
素晴らしい出来のものが出ていました。
時すでに遅し。
いまでは入手困難のようですが、
ひょんなことから出物もありますし、
焦らず探そうかなと思っています。