RE Model car Museum

1/43RE車ミニカーBLOG

'69 マツダ ルーチェ・ロータリークーペ

1967年にRX87として
プロトタイプが東京モータショーに展示され、
1969年にマツダ
ロータリーエンジン(RE)車
第三弾として発売されたのが
ルーチェ・ロータリークーペです。

マツダ ルーチェ・ロータリークーペ 1/43 ノレブ製

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デザインにはジウジアーロが関与しており、
そのせいもあってか
優美なイタリアンデザインは
どことなくいすゞ117クーペに似ています。

しかし、クルマの成り立ちとして見れば
両車はまるで別物なのです。
ルーチェ・ロータリークーペは
FFレイアウトでREを搭載するという
特異な構成でした。

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ベースとなった初代ルーチェは
レシプロエンジンのFR車でしたから、
ロータリークーペのみが
その姿と名前を借りた
特別なクルマのように思えますが、
事実はどうやら逆だったようなのです。

ルーチェはもともと
FFレイアウトでREを搭載する
コンセプトで開発はスタートしており、
肝心のREが間に合わずに
1965年にレシプロエンジンのFR車として
発売されたというのが真実とのこと。

つまり、ロータリークーペは
REのFF車という当初のコンセプト通り
発売に漕ぎ付けたクルマなんですね。

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上の写真が件のジウジアーロ
ベルトーネ在籍時代にデザインした
ルーチェのプロトタイプであるS8Pですが、
この異型ヘッドライトと広いグラスエリア
垂れ下がったフロント造形を見ると、
私はいすゞ117クーペよりも
先に紹介したNSU・Ro80との
近似性を強く感じてしまいます。

REのFF車という特異な共通点から考えても、
これはマツダからのNSU・Ro80に対する
アンサーソングだったのかも知れません。


しかし、ルーチェ・ロータリークーペは
オーバーヒートとFFの悪癖という
弱点に悩まされたことと、
117クーペ並みの高額車だったこともあり
販売は伸び悩みました。

総生産台数は僅か976台。
「ハイウェイの貴公子」のキャッチコピーで
フラグシップを務めたグランツーリスモ
3年の任期を終えて舞台を降りたのでした。

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ミニカーは引き続き、
国産名車コレクションのノレブ製。

フロントの4灯ヘッドランプの
彫の深い表情が表現されておらず、
あまり実車に似ていない気もしますね。

コストが掛けにくい量産品ですが、
顔さえ良ければ七難隠すこともできます。
ここはなんとか
頑張って欲しかったところです。

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さて、ミニカーからは窺い知れませんが
ルーチェ・ロータリークーペには
特筆すべきことがもう一つあります。
それは、13Aという
このクルマだけに積まれたREです。

コスモスポーツに搭載の10Aから、
ローター幅を10mm広げた12A。
そこから更に10mm広げた13Bのように、
基本設計はそのままに
ローター幅を広げることで排気量を上げて
改良を重ねていったのがREなのですが、
13Aはその系譜から外れる
現状でマツダの市販車で唯一のREなのです。

何が違うのかと言いますと、
ローターの偏心量を増やすことで
排気量アップに対応していたことです。
つまりは、ローター幅はそのままに
ローター自体を大型化したのですね。

ちなみにレシプロエンジンで言えば、
ローター幅拡大…ボアアップ
ローター偏心量増大…ストロークアップ
と同様の効果です。


とはいえ、この方式の排気量アップは
ルーチェ・ロータリークーペ以降、
後には続きませんでした。

ローター幅だけを広げる方が
工作機械は減らせますし、
共用部品も増えて、
基礎研究も一本化できます。

また、ローターが大型化すれば
ハウジングも、ひいては
エンジンサイズも大きくなりますから
小型軽量のREのメリットを殺すのを
嫌ったのかも知れません。


しかし、13Aが選んだローター偏心量を
増やす方式は今では見直されています。
それは次期REとして、
度々取り上げられた16X。

これは10Aからレネシス13Bまで
同一だったローター偏心量を増やした
いわばロングストローク化したREです。
燃費とエミッションを重視した
近年のレシプロエンジンのトレンドと
同じになりますね。

一時期、開発中断の話が聞かれましたが、
噂の次世代ロータリーエンジン
スカイアクティブRとして
16Xの復活を期待しています。

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