RE Model car Museum

1/43RE車ミニカーBLOG

'67 NSU Ro80

NSUは習作ヴァンケルスパイダーを発売したのち、
1967年10 月、真打ちRo80を発売します。

低回転域の弱点を克服した497.5cc×2ローターの
KKM612型ロータリーエンジン
FFレイアウトで搭載して、
セミAT、パワーステアリングという先進装備で
エアロボディを纏った4ドアサルーンでした。

1968年欧州カーオブザイヤー受賞。

しかし、その華々しい船出に反して
NSUを傾けることにもなる悲劇のクルマです。


NSU Ro80 1/43 ミニチャンプス製

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一番驚くのは、やはりこのスタイリング。

同年発売されたコスモスポーツ
未来的なスタイリングですが、
コスモスポーツレトロフューチャー的な
懐かしさを感じるのに対して、
Ro80は発売年が10年間違っているんじゃないか
と違和感を覚えるほどの異端ぶりです。


それは数字にも如実に表れていて
クラウス・ルーテがまとめた空力的ボディは
1967年当時としては驚異のCd値0.35。

ちなみに、日本の60~70年代の
代表的スポーツカーと比較しても以下の通り。

……1967年発売の4ドアセダンですからね、これ。

 

空力に寄与する異型ヘッドランプも
これ60年代のクルマ?と違和感に拍車をかけます。

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と、ここまで持ち上げておいてなんですが
先進的ではあっても、美しいクルマかと
言われると少し首を傾げるかも知れません。

小さいロータリーを低重心で積んでいることを
印象付ける垂れ下がったフロントと
6ライトウインドウの広いキャビンのせいで
どこか間延びして見えるせいでしょうか。

私を含め日本人受けの悪そうなデザインです。


とはいえ、このクルマ
間延びして見えるんだけではなくて、
実際にかなり大きいんですね。
ミニカーで同社のスパイダーと
並べてみると一目瞭然。

同時期の4ドアセダン比較だと
メルセデス・ベンツW114(現Eクラス相当)
とほぼ同じサイズになるんです。

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しかし、そんな先進的なクルマも
商業的には大失敗になります。
肝心のロータリーエンジンの信頼性が
いまだ不十分でエンジン交換が頻発するからです。

原因はオイルシール不良に加えて、
構造的欠陥によるプラグ周りの熱害からの
ハウジング亀裂と言われています。

 

NSUはクレーム対応に追われ、ついに1969年
VWグループのアウトウニオンに
吸収合併されます。

合併後の社名はアウディNSUアウトウニオン。
三菱東京UFJ銀行のように長い……)

 

合併後もRo80の製造は続けられて
エンジンの欠陥も後に解消したようですが、
最初のイメージダウンが大きかったことと、

ペリ吸気ペリ排気の低回転域の弱点を
セミATでカバーしていた為に燃費が劣悪で、
オイルショックの影響は覆すことが出来ず
1977年に10年に及ぶ販売の幕を閉じました。


そして、1985年には
社名からもNSUが消えて単にアウディとなります。
アウディになっても、そのエンブレムは
アウトウニオン時代からの
フォーシルバーリングスは変わっていません。

つまり、アウトウニオン創業時の4社
アウディ、DKW、ホルヒ、ヴァンダラーを
表したエンブレムのことですが、
そこには当然NSUはありません。

社名からもエンブレムからも
NSUはこの時に消えたのでした。

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しかし、NSUの遺産であるロータリーエンジン
今も静かにアウディの中に息づいています。

2010年ジュネーブモータショーでは
アウディA1 e-tronという
発電機としてロータリーエンジンを使う
電気自動車のコンセプトカーが発表されました。

今現在はまだ発売には至っていないようですが、
NSUの名前は消えても、そのロータリーの
復活の日は近いのかも知れません。


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